16:24上海 浦東空港着。 長春から2時間、降りた瞬間暑いと思った。ちょうど北から南に飛行機で2時間南下したわけだからそりゃ、気候も違うだろう。ツアーもいよいよ後半になる。あっという間に流れていった時間。「まだ帰りたくないなー」なんていう声も聞こえる。まだまだ大本番が2本もあるのにだ。なんとなく不安に思う。みんな慣れてきている。それは危険信号だったりするのだ。上海の巨大な空港の中、僕らはいつものようにゲートを進みバッグをピックアップする。17:20荷物をもってあとは空港の外に出ればいいだけだった。しかし、そこで、恐ろしい光景が!なんと、キーボードのエフェクターケースががばらばらになって出てきたのだ。かんがえられないことだ。ケースはツアー用のハードケースでよっぽどの事がなければ壊れたりしない。それがバラバラなのだ。金属の蓋の部分は3つに分断されている。これは数メートルの高さから投げ落としでもしない限りこうはならないだろう。いずれにしろ、これではコンサートに影響する。「冗談じゃない!」さすがに怒りは全員一緒だった。そんな緊迫した中に在上海日本国総領事館の野口さんが出迎えにきてくれた。「あら、大変!」今回のツアーのアテンドの窓口のりんちゃんも登場。今回は強い。二人の天使の連携プレイによって、なんとか空港を出つつ、壊れた機材のクレームも入れられた。結果的にりんちゃんが交渉してくれて一部を弁償してもらえる事になった。その金額は300元。まったくたりないがそれでも恩の字といえよう。 僕らは見慣れた風景を越え上海市内に入った。最近日本でもやたら目に付く高層ビルが目の前に広がる。ライトアップされた市内は100万元の夜景というべきか。今日のホテルは静安賓館。オールドタイプの格式あるホテルだ。薄暗い室内に高級そうな調度品が並ぶ。うーん、歴史を感じる。移動に疲れてきたので少し休みたいところだが、今日はまだまだこれからだ。荷物を部屋に置き、今日の会場になるM-BOXに向かう。M-BOXは上海にある人気のライブハウスだ。街の中を駆け抜けるようにバスは走り会場にたどりつく。おしゃれなビルの3Fにあるこのライブハウス。入り口からおしゃれだ。機材は完璧であった。どこの会場よりもすばらしい機材は日本のライブハウスにもあまりないようなすばらしい機材を装備している。なぜ、こんな機材があるんだろうと思うほどだ。僕らはトンボ帰りでホテルに戻る。食事をしてからまた、会場に乗り込むことになるのだ。ホテルに到着。あわただしい移動は続く。そこにトモを発見。今日からの新メンバーが合流となる。ツアーで汚れきった僕らをどう思うだろうか。このホテルのように風格とみてくれるだろうか。「元気でしたかー」元気なのはあなたよ。トモとの再会を果たしたメンバーに清涼感が漂う。こういう刺激は気分転換にいい。何よりもトマがいなくなった分すこしさびしくなったツアーメンバーにとっては仲間が増えることはすこぶるうれしいものだ。食事中今までの出来事をりんちゃんとトモに話す。かなり誇張された「怖い話」も交えつかの間のリラックスタイム。 そして、21:00。再び会場のM-BOXへ。本当に慌しくスケジュールは進む。この広い街を縦横無尽にかけまわる。上海トラベリングだ。会場の控え室でいろいろな人とであった。日本人、中国人の前に芸人でありアーチストである。お互い少しだけ解る英語で会話する。もちろん、僕らは中国語で挑戦。22:00。ステージが始まる。本番前に「英語の曲を入れてほしい」とリクエストされ、Stand by meとLongtrain Runnin'をやることになる。歌詞をあまり知らないしのんに代わりStand by meをトモが歌うことになった。なんという前向き姿勢。初の中国だというのに、いきなりステージで歌おうという。普通ならしり込みするのにそうでもない。この姿勢はアーチストにとって大事なことだ。うーむ、感心。これも若さか。でも、そんなたった一つの機会をいかせる事はそう多くない。それをGETできるともは強運の持ち主だと思う。だって、上海で歌っちゃうのよ。 そんなステージはあっという間に終盤に近づいた。今日はまさに中秋の名月。但願人長久はこの日のためにあるような曲。会場は盛り上がる。ここ上海でも音楽による心の交流はできる。おしゃれな雰囲気からなんとなく苦戦を予感していた。それでも、かなり盛り上がったと思う。知らず知らず僕らのアクションも大きくなってきている。これは意識してできるものではない。自然と出てくるグルーブ感がそうさせるのだろう。ライブ終了後オーナーがやってきた。すごく喜んでくれていて、また上海にきたら必ず演奏してほしい、といわれた。うれしいことだよね。こうして人の輪が広がるんだろう。きっと上海のBoy&Girlsになるのではないか。そんな気がしてきた。そこに最後のメンバー潤坊が合流。これで全員そろった。乾杯。GQツアーの後半が始まったのだ。いつものGYPSYQUEENによるツアーが。23:30。静安賓館に到着。24:00反省会。今までの行動を伝える。ビデオをみて、これからの流れを確認。特にツアー中での変更事項を要チェックだ。2時間ほどのミーティングも終わり2:00am就寝。長春から飛んできた長い一日は終った。疲れた。 2002/9/22 Shanghai 6:00起床。7:00朝食。朝食はバイキングだが、食欲もなくすぐ部屋に戻る。やはり長春より圧倒的に暑いせいか体調管理が難しい。。ここの北緯は31度。日本でいうと鹿児島と同じ位置だ。9月後半と言ってもまだまだ暑いよ。僕らは細かく刻んで、8:15にロビーに集合し、バスにて会場へ向かう。場所は上海図書館。図書館にあるホールにてコンサートを行う。丁度日本のアーチストのポスター展示会をやっていると言う事で、その会場は「日本文化」に溢れているという。市内の道はビルに囲まれ、良く見ないと自分の居場所がわからない。揺られて会場につく頃には、すっかり帰り道がわからなくなった。バスから降り会場に入る。日本の有名歌手のポスター展で入り口では浜崎あゆみのライブビデオが流れている。ちなみにそのポスター展の中に僕らのポスターも貼られているのだ。 ホールの入り口には大きなロゴが貼られている。ここ上海は中国のほかの地域とはちょっと感じが違う。セットもステージもあまり中国を感じさせないというよりも日本、いやアメリカ?なんとなく国際的と言うか日本からきた僕らにとって違和感がない会場である。どちらがいいというわけではない。気分的に楽という点もあれば、中国公演だからそれなりの雰囲気の方が気持ちが入るという事もある。まあ、そんなことはどうでもよい。大事なのは目の前に座ってくれるお客さんがどう思ってくれるか、と言う事だけだ。会場の準備も進み、リハーサルに入る。しかし、なかなか進まない。リラックスし過ぎだろうか、スローテンポのリハが続く。それでも休憩をいれると再び全員が集まるのに時間がかかり、進行が押してしまう。急に波長がくるったのか?満足なリハーサルにはならなかった。音響の問題もあったが、それは今まで経験済でいまさらあえて事を正すことはない。ただ、ある環境でベストを。それを信条に進めていたGYPSYQUEENは上海の国際色に影響されてしまったのか、個人の主張が強くなってきてしまった。と、あとで思ったことだ。 11:30。Beyondのwing(葉世栄)が合流する。ギターをかかえてなんとなくするっと中にはいってきたかれとはメールでしかやり取りをしていない。それでも、充分コミュニケーションがとれていたのですんなりなじむことができた。フレンドリーな彼。Beyondの持ち歌の「光輝歳月」のリハは2テイクでOK。さすがだね。そこで、アンコールで花心もやろう!と提案してみる。どう答えるだろうか。そんな事を考える時間も必要なく、Wingはあっという間にOKの返事をくれた。こんなに快くOKをしてくれるなんて。彼はきっと僕らと同じ考え方をしているのだろう。違う言葉を話していても考えることは一緒なのだ。「楽しく音楽をやろう」そういうことなんだ。実際にセッションであわせてみると、キーがかなりキツイ。急遽、一音さげてやることになった。バンドは問題ない。歌も下げたおかげで大丈夫だ。きっと、この日中両国で知られているこの曲をBeyondとしのんが一緒に歌えばそれは友好のもっともわかりやすい表現となると思う。ステージが楽しみだ。13:00。スタッフにせかされるように昼食に向かう。図書館の食堂の一角を僕らは使わせてもらい食事をとる。食後あっというまに本番が近づいてきた。 うちあわせをする時間もなく個々の準備を進めるメンバー。なんだかばらばらだ。また、この素晴らしい図書館の設備のおかげで、初めて控え室を男女別々にした。意思疎通のためには誰かが伝達しなければいけない。慌しいときにそれは面倒かな?とも思ったが,せっかくなので使わせてもらう。14:00本番 今回の公演でもっとも規模の小さい会場。小さければ盛りあがらないって事はない。長春のステージを思い出してみればできるかもしれない。よし、行こう。潤坊が戻りトモが参加した最初の公演。気合はいつも以上に入っていた。コンサ−トが始まりStageはあっという間にすぎていく。長春で経験したとおり計算ではなく自分の気持ちから「一緒に歌ってもらいたい」という気持ちを押し出した。それはここ上海でも通じた。しかし不思議なことに長春でとても受けた曲はここではあまり反応がなかった。その反面大連や長春で耳を抑えられるようなどちらかというとロックテイストの曲への反応はよかった。りんちゃんの言葉を思い出した。 「GYPSYQUEENで好きな曲はMIRRORよ」MIRROR。この曲は僕らの曲の中でも最もハードな部類の曲だ。それが好きという言葉の解釈を甘く見ていたのかもしれない。上海では日本の音楽がたくさん入っている。入り口での浜崎あゆみ、BGMにはGLAYがかかっていた。。そうなのだ、はっきりとは解らないがここ上海は中国のほかの地区とは嗜好が異なっているのだ。(だろう?)中国的にと言うことよりも日本の今のシーンをそして欧米の流行を取り入れている人が多い、少なくとも今日この会場にきている日本文化に興味があるという人たちはファッションや文化のオピニオンリーダー的存在なのだ。とはいえ、演奏は始まっている。さすがに曲目変更は聞かない。もちろん、僕らができるハードな曲はたくさんある。ただ、今回の公演には不適当ということでラインアップからはずしてきた。読みが甘かったんだ。そんなことはあとで考えよう。今はこのステージに全力をつくさなきゃ。 そう思いすこし焦り気味で演奏をしている自分がいる。さらに僕に追い討ちをかけたのが「コンタクトはずれ事件」だ。ステージ前からどうも右目のコンタクトの具合がわるかった。演奏中もとても気になる。そんな時目をこすったら取れてしまったのだ。片目しか見えない。これはまた、やりづらい。周りから見ると解らないと思うんだが、一人であせりまくっていた自分。コンサートも中盤に差し掛かり次は中国語の朋友だった。これは盛り上がるだろう。どこの地区でも大うけだった。「ん?」しのんがなぜか中国語でMCをしている。この曲は中国で有名な日本の歌です」これは花心のMCではないか??「きいてください、花心」。。。。 僕はあせった。「違うよ、朋友だよ」しのんがびっくりしている「きいてないよ」不安なかおのしのん。。。もちろん、曲的にはなんの問題もない。最初に決めた進行をWingがきてリハの最中に曲順を変えた。アンコールにWingを登場させるために花心を最後にしようと変更し、転調した構成に最後の最後に決めた。しかし、しのんは「きいていなかった」。他のメンバーもどちらか明確に理解していないものもいた。僕らはバンド。聞いていないということは受身すぎる。いつでも自分から情報を取り、共有していくのがバンドだ。音楽は自分自身が能動的でないといけない。雇われミュージシャンではないぼくらはメンバー全員が「主体者」なのだ。もっとミーティングをやればよかったと猛省。まあ、いい、次からもっと徹底していけばいい。今日の演奏の中ではなんら問題はないはずだ。 これまでツアー中にメンバー間の精神的な問題は皆無に等しかった。とてもすばらしいことだ。ここまで規律正しいバンドは多分世界中どこを探してもあまりみあたらないだろう。しかし、それも9日目についに一息入れてしまった。いや、今はコンサート中。目の前の客さんに集中しよう。あとでたっぷり話し合おう。そしてMCタイムでは客さんとのコミュニケーションも深めることができて、何とか気持ちも持ち返した。そしてWingの登場。香港のNo.1スター、いや中国発の初のロックバンドBeyondの人気は今もまったく衰えていない。お客さんは騒然としている。そりゃ、そうだろう。まさか今日、ここでBeyondが出てくるなんて思わないさ。Wingの参加については準備段階からとても苦労をした。「無理じゃないか?」というスタッフもいた。それでも、Wingと一緒にプレイをすることがここ上海での国交回復30周年の華になると思って頑張って準備をすすめた。今年の春にここでであった野口さんに特別なプレゼントをしたい。そんな気持ちでこのスーパーゲストのアサインをした。その作業がこの歓声で全て昇華された。 司会者のDJさんは上海でも有名なDJさんらしい。Wingと中国語でたのしそうに話す。なんといっているか聞き取れないのが残念だ。もともとWingはファンキー末吉さんに紹介してもらった中。ファンキーさんもいろいろこのために助言をくれた。「僕の友達の友達なんだ」そんなMCの中で大きな拍手が鳴り響いた。そうか曲をやるんだな。スタンバイOKの杉やんがカウントを打つ。イントロから大きな手拍子。とっても有名な曲なんだ。「光輝歳月」この曲のように僕らのオリジナルソングもいつか中国で評価を受けたい。タイトルを言っただけで大歓声がおきるように。wing効果は絶大でそのあとも盛り上がりコンサートは終盤になってきた。最後は再びWingの登場。日中友好のテーマとして「花心」を大合唱した。 16:00。コンサートは無事終了。ステージに上がってサインを求めてくる人たちとのコミュニケーションはここでも一緒だ。楽屋ではWingと再会を約束して記念写真主催者の方たちも喜んでくれた。きっと会場に最後までいてくれた人は僕らの事を覚えてくれただろう。また、会えることもあるだろう。音楽はいとも簡単に人と人を結んでくれる魔法を持つ。野口さんも喜んでくれていた。よかった、今年二月のときに「一緒に何かできればですよね」なんて何気なく言っていた事が現実になって本当にうれしい。そういう偶然と必然の出会いをすごく感じるのだ。搬入を終えまだ明るい中をホテルに戻る。行き見た風景とは何となく違う気がする。編み目のように道路が走る上海はまだまだ僕が運転できるところではないな。ちょっと眠気に襲われ考え込む。ステージからみえた、途中で席を立ち上がるお客さんはなぜだろう、もともと予定があったのか?つまらなかったのか?「もうかえろうよ」って帰ったのか?「うーん、もっと見たかったのに時間が〜」と帰ったのだろうか。その解明をしていきたいと思った。 曲順についても誰がわるいわけではない。みんなの気持ちがひとつになってさえいれば起きなかったことだ。反省だ。まとめ上げることはぼくの役目であるはずだ。それができないのなら僕の存在意義はない。そうならないようになんとか気を配りたいと思った。成功も失敗も誰のせいでもない。全員に降りかかってくる僕らは運命共同体ということを思い出して考えていきたい。いろいろ課題を感じたコンサートだった。上海が大都市だから難しいという事はないはずだ。必ずツボが見えてくる。そこをいつ、どのタイミングで僕らが習得できるかがキーになってくるのだろう。17:10。ホテルにもどり食事会の準備。またもや着替えた僕らは18:00領事館の方たちと晩餐会の会場南新雅大酒店に向かった。南新雅大酒店は南京路にあるホテルだ。バスの中でWingが日本にいた時のことをいろいろ聞いた。ステージ前には一言も日本語を話さなかったのにたくさんたくさん日本語が出てきた。2年間ほど日本にいたらしくけっこうたくさんの言葉をしっていた。いきなり宴会モードのバスのなか。それは楽しい移動時間であった。夕闇の上海市内を僕らのトラベリングバスはまばゆい灯りのほうへ向かう。眠らない街南京路へ。 会食には主催の田尻さんを始めARKの朱さん、上海FMの人などが集まってくれていた。日中の友好のためには音楽は一つのツールになりうる。それが今日のコンサートで表現されているはずだ。田尻さんともじっくりとお話ができた。今までの公演地のことやGYPSYQUEENの事。こうして、会話できることがとても有難いし、貴重であると思う。それでも楽しい時間ほどあっという間に通り過ぎてしまう。田尻さんの挨拶があってお開きとなる。ありがとうございます。また、もっと力をつけて上海にきます。そのときはまた僕らと酒を飲み交わしてください。謝謝!特に今日は野口さんがこれからのことも考えいろいろな人と接点をと思ってくれて準備してくれたらしい。非常感謝。これを形にできるように頑張らねば。そしてつぎの出会いのために。 21:30南京路を歩き応援団の待つ二次会へ、それにしてもすごいネオンだ。この街の活力はなんなんだ。でも、これは記憶のすみにある風景かもしれない、自分達の親の世代が若かったころ、子供の目を通してみた日本の活力に似ていた。きのせいだろうか。事実として昼間のようにさまざまな人たちが行き交い騒がしい巨大なエリア。輝く街。人工衛星からみたらきっとアジアの宝石に見えるのだろう。すでに今の日本にはこのパワーはない気がする。僕らが頑張らねば。日本を支えていかなければいけないのは僕らの世代だ。この街にいるとなぜか元気になる気がした。バンドはタクシーで二次会に向かう、上海を縫うようにまたもや駆け巡る。猛スピードで。ついた場所はおしゃれな洋館。Shshaだ。入り口で名前を告げると天井の高いホールを抜け、奥のガーデンに案内される。そこにはオープンエアの洒落た席とすでにかなり酔狂に浸っている僕らの朋友が待っていた。「乾杯!」wingと打ち上げだ。飲んでいるとりんちゃんの友人の歌手の人が来た。アミンだった。偶然の一致か、アミンはファンキーさんの夜総会バンドのボーカルを務めていた子。まさか彼女と上海であえるなんて。当然wingとも友人。なんだかますます地球は狭くなってきている。今日は日中友好の宴会だ。お互いに得意な曲を演じる。まわりのお客も突然やってきた香港のスターと不思議な日本人とのセッションを眺めている。店員も遠慮なく僕らの音楽を聴いている。 盛り上がった僕はこのツアーの曲をwingの前で歌った。wingに会ってまた一行詩がでてきた。完成に近づいた曲、もう少しでFIXする曲を披露する。タイトルは何にしようか為我(私のために)という仮のタイトルをつけた。この曲はみんなが気に入ってくれた。wingも気に入ってくれた。作った曲が評価を受けることはとてもうれしい。ただ、いつもより少しこの曲は意味合いが異なる。ツアーのテーマソング。モンゴルで、中国でであった人たちの歌だから歌うたびにその人たちの顔が浮かぶ。それを解ってくれる事がとても嬉しいのだ。wingに言った「この曲の中国語の歌詞を考えてくれないか?できたら一緒にやろう、僕らの最初の競作としてこの曲をやりたいんだ」そう僕が言うとwingは大きくうなづいてくれた。ツアーの曲はツアーの思い出とともに僕らの最初のコラボレーションというおまけをつけてくれた。音楽は偉大だ。いつまでも尽きない宴。それこそ1ステージ分演奏してもいいくらいだ。wingが歌った「我的家郷」という曲が印象的だった。この曲をいつかやりたいとおもった。GQテイストばっちりのアレンジがあっという間に思い浮かぶ。日本に帰ったらこの曲をさがさなきゃ。 また一曲しのんの課題が増えた。「歌詞よろしくね」そういっても、もう今のしのんに不安はない。笑顔で「うん!」と答えられる余裕。中国語で歌うことにもう恐れはないのだ。「さがさなきゃね」うん、しのん。ボーカルとしてのかっこよさが見えてきたぞ。その調子だ。言ったもん勝ちだ!時計は23日に変わり僕らはホテルに戻った。お疲れ様。さあ、反省会だ。飲んで疲れたのは分かる。それでも、明日のために反省会をやる。夜中に厳しいことをいうのは言うほうも辛い。でもいわなければ明日が始まらない。慌しさにまけてはいけない、鮮やかなネオンに惑わされてはいけない。自分達がここになにをしにきたのかを絶えず気持ちの中に持っていなければぼくらは本当のGYPSYになってしまう。3:30am部屋にもどり就寝、自分のことはなにもできていない、でも余裕はない。それもしかたないことだ。十分楽しい生活を過ごしていると思う。全て前向きに明日もがんばろう。おやすみなさい。 2002/9/23 Shanghai-Chongqing 8:30起床。今日は移動日。昨日遅かったこともあってのんびり起床。そして午前中は久しぶりにOFFだ。というかショッピングができるなんて初めてだ。9:30にみんなで集合し街に出る。前回の上海ツアーでだいたい街の主要なところは理解していた。本物か偽物かわからないような怪しげなブランドものを買うメンバー。本物か偽物かなんていう事はどうでもいいってワケだ。時間を決めての自由行動はそれぞれいろんな伝説を呼んだに違いない。そのあと昨年お世話になったお茶屋さんに向かう。挨拶をしに行かないとと思った。前回の公演の時は大きな花を頂いた。ここ上海にも僕らが会いたい人がいる。店に行くと社長はすぐに僕らをわかってくれた。「どうしたの?」というから「社長に会いにきた」といった。ついでにお茶を凄く安く売ってくれてサービスもたくさんくれた。「今度くるときは先に連絡を下さい、コンサートもしきってあげるよ」という社長の言葉にメンバーは大喜び。持つべきものは遠くて近い友だ。 店の回りのワイタン地区は租界時代のビルが立ち並び「The 上海」という匂いをぷんぷんさせている。りっぱな建物の隙間を抜けいわゆるガイドによく出ているTV塔(東方電視台)の前で写真を撮る。「GLAYって感じで」「いいんだよ、GYPSYQUEENって感じで」どこがどう違うんだ?短くも楽しいOFFの時間も終わり、ホテルに戻る。そんな途中、潤坊がデジカメをタクシーの中に忘れてしまったようだ。慌てる潤坊。そこでまたもやりんちゃんの登場。今回もあっという間にタクシーを探し出し、デジカメを回収してくれた。りんちゃんには上海中のタクシーを把握する力があるのだ。(ほんと??)メンバーはタクシーのもどりを待つ潤坊を残し、食事に出かけた。久しぶりに麺を食べたいということで近くの街の食堂に入った。結構きれいな店だったが。だいたい一人14元。そしてアイスコーヒー10元。そういえば、過去も含めアイスコーヒーを中国で飲んだのは初めてのような気がする。それでも、350円くらいで昼食終了。この安さ。日本に帰るのが怖くなる。サイフの中にはまだ使われていない元がこってりと残っている。 ホテルに戻りいよいよ上海を離れる時間になってしまった。今回も短い間にいろいろな経験ができた。すべてが僕らを強くしてくれている。夜中に食べた1本2元の羊の串焼きもうまかった。15:00ホテル発。そして15:30上海 虹橋空港着。ここからおおよそ国内線は発着している昨年、昆明からたどりついた初めての上海でもあり、この2月に珠海からやってきた空港でもある。荷物も何の問題もなく通過し、いよいよ最後の公演地重慶に旅立つときがきた。初めての地重慶。不安そうなメンバーをみて「わたしもいきたいな」というりんちゃん。できることならきてくれればどんなに心強いことか。でもさすがに急には無理だ。「また、帰りにまってますからね」ゲートでりんちゃんと別れ搭乗ゲートに向かう。搭乗までの間にこのレポートを書いている。 めまぐるしく移り変わる上海を僕らはそれを上回るペースでかけまわった。上海トラベリング。いつものペースに拍車をかけてくれたのはこの街の成長力の証しか。上海のステージは僕らの血となり肉となり最後の重慶で全力を出すために大きな力をくれた。ありがとう上海!!もっと強くなってまた帰ってくるから! |
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